子供の乳歯が抜ける順番は、多くの場合、ある程度のパターンに沿って進みますが、時には「あれ?うちの子、順番が違うかも?」と心配になることもあるかもしれません。確かに、一般的な目安から多少ずれることはよくありますが、中には歯科医師に相談した方が良いケースも存在します。まず、理解しておきたいのは、乳歯の抜ける順番や時期には個人差が大きいということです。一般的な目安(下の前歯→上の前歯→下の側切歯→上の側切歯→第一乳臼歯→乳犬歯→第二乳臼歯)から多少前後したり、左右で抜けるタイミングが数ヶ月ずれたりすることは、それほど珍しいことではありません。半年から1年程度のずれであれば、多くの場合、成長の個性として捉えて問題ないでしょう。しかし、以下のような場合は、一度歯科医師に相談してみることをお勧めします。一つ目は、「左右で著しく非対称な生え変わり」です。例えば、片方の下の前歯が抜けてから1年以上経つのに、もう片方が全くグラグラする気配がない、あるいは片方の乳犬歯だけが早くに抜けてしまったが、反対側は全く抜ける様子がない、といった場合です。このような著しい左右差がある場合は、永久歯の先天性欠如(生まれつき永久歯がない)や、埋伏歯(永久歯が骨の中に埋まったまま出てこない)、あるいは過剰歯(余分な歯)の存在などが影響している可能性があります。二つ目は、「乳歯が抜けたのに、永久歯がなかなか生えてこない」ケースです。通常、乳歯が抜けると、その後数ヶ月以内に永久歯が顔を出し始めます。しかし、乳歯が抜けてから半年以上経っても永久歯が生えてくる気配がない場合は、永久歯の萌出遅延や、何らかの萌出障害が考えられます。これも、永久歯の欠如や埋伏、あるいは歯茎が硬くて永久歯が出てこれないといった原因が考えられます。三つ目は、「明らかに異常な場所から永久歯が生えてきた」場合です。例えば、乳歯がまだ抜けていないのに、その乳歯の内側や外側から永久歯が重なるように生えてきたり、大きく傾いて生えてきたりする場合です。これは、将来の歯並びに影響を与える可能性があるため、早期の対応が必要になることがあります。