周りの友達の乳歯が次々と抜けていくのに、自分の子供の乳歯はなかなかグラグラもせず、抜ける気配がない…そんな時、親御さんとしては少し心配になるかもしれません。乳歯が適切な時期を過ぎても抜けずに残っている状態を「乳歯晩期残存(にゅうしばんきざんそん)」と呼びますが、これにはいくつかの原因が考えられます。最も一般的な原因の一つは、「永久歯の先天性欠如(せんてんせいけつじょ)」です。これは、生まれつき、その乳歯の下に生えてくるべき永久歯が存在しない状態です。永久歯がないと、乳歯の根を吸収する力が働かないため、乳歯は抜けずに残ってしまうことがあります。特に、下の第二小臼歯(前から5番目の永久歯)や側切歯(前から2番目の永久歯)に先天性欠如が見られることが多いと言われています。次に考えられるのは、「永久歯の萌出遅延(ほうしゅつちえん)」や「埋伏歯(まいふくし)」です。永久歯が顎の骨の中には存在するものの、何らかの理由で生えてくるのが遅れていたり、骨の中に埋まったまま出てこれなかったりする場合です。この場合も、乳歯の根の吸収がうまく進まず、乳歯が抜け残ってしまうことがあります。永久歯の萌出を妨げる原因としては、永久歯の生える方向が悪い、歯茎が硬すぎる、過剰歯(余分な歯)や歯牙腫(歯の組織からできる良性の腫瘍)が存在する、などが考えられます。また、稀に「乳歯癒着(にゅうしゆちゃく)」といって、乳歯の根と顎の骨が直接くっついてしまう状態になっていることもあります。この場合、乳歯は全く動かず、永久歯が下に控えていても自然に抜けることはありません。乳歯がなかなか抜けない場合、放置しておくといくつかの問題が生じる可能性があります。例えば、永久歯が正しい位置に生えることができず、横から生えてきたり、歯並びが乱れたりする原因になります。また、癒着した乳歯は、周囲の歯や顎の骨の成長に影響を与えることもあります。では、乳歯がなかなか抜けない時はどうすれば良いのでしょうか。まずは、歯科医院を受診し、レントゲン撮影などで永久歯の有無や位置、状態を確認してもらうことが重要です。