「歯ぎしり」と聞くと、睡眠中にギリギリと音を立てるイメージを持つ方が多いかもしれませんが、実は歯ぎしりにはいくつかの種類があり、音が出ないタイプも存在します。歯ぎしりを効果的に治していくためには、まず歯ぎしりとは何か、どのような種類があり、何が原因で起こるのかを正しく理解することが大切です。歯ぎしりは、専門的には「ブラキシズム」と呼ばれ、睡眠中や日中の覚醒時に、無意識のうちに歯をこすり合わせたり、強く噛みしめたりする口腔内の悪習慣(パラファンクション)の一つです。歯ぎしりの原因は、まだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が複合的に関与していると考えられています。最も大きな要因の一つが「ストレス」です。精神的な緊張や不安、疲労などが、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりを引き起こすと言われています。また、「噛み合わせの不調和」も原因となり得ます。特定の歯だけが強く当たっていたり、不適合な詰め物や被せ物があったりすると、それが刺激となって歯ぎしりを誘発することがあります。その他、飲酒、喫煙、カフェインの過剰摂取といった「生活習慣」、遺伝的要因、一部の薬剤の副作用、特定の睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)との関連も指摘されています。歯ぎしりを放置すると、歯の摩耗や破折、知覚過敏、歯周病の悪化、顎関節症、頭痛、肩こりなど、様々な問題を引き起こす可能性があるため、早期に気づき、適切な対処を始めることが重要です。