歯の痛みと頭痛が同時に現れた場合、それを「いつものことだから」「そのうち治るだろう」と放置してしまうのは非常に危険です。これらの症状は、お口の中や、場合によってはその周辺に何らかの異常が起きているサインであり、放置することで症状が悪化したり、より深刻な問題に発展したりする可能性があります。歯科医院を受診し、適切な診断と治療を受けることの重要性を理解しましょう。歯の痛みを放置する最大のリスクは、「原因疾患の進行」です。例えば、虫歯が原因である場合、放置すればするほど虫歯は深くまで進行し、歯の神経(歯髄)に達して激しい痛みを伴う歯髄炎を引き起こします。さらに進行すると歯髄は壊死し、感染が歯の根の先へと広がり、歯根の先に膿が溜まる根尖性歯周炎を発症します。こうなると、治療が複雑になり、治療期間も長くなるだけでなく、最悪の場合は歯を失うことにも繋がりかねません。歯周病が原因である場合も同様です。放置すると歯を支える骨が溶け続け、歯がグラグラになり、最終的には抜け落ちてしまいます。親知らずのトラブルや歯性上顎洞炎なども、放置すれば炎症が広がり、重症化するリスクがあります。頭痛に関しても、歯の痛みが原因で起きている場合、その原因を取り除かない限り、頭痛も改善しません。市販の痛み止めで一時的に症状を抑えることができても、根本的な解決にはならず、薬が切れると再び痛み出すという悪循環に陥る可能性があります。また、長期間痛みを我慢していると、精神的なストレスも大きくなり、日常生活の質(QOL)を著しく低下させます。さらに、稀ではありますが、歯の感染が全身に広がり、重篤な合併症を引き起こす可能性もゼロではありません。歯の痛みと頭痛を感じたら、まずは歯科医院を受診することが鉄則です。歯科医師は、問診、視診、レントゲン検査などを行い、痛みの原因を正確に診断し、適切な治療法を提案してくれます。場合によっては、耳鼻咽喉科や脳神経外科など、他の診療科との連携が必要になることもあります。自己判断で放置せず、できるだけ早く専門家の助けを求めることが、健康を守るための最も賢明な選択です。