ふとした瞬間に「歯が欠けた!」と気づくと、驚きと不安を感じるものです。歯が欠ける原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っていることもあります。その原因を正しく理解することが、適切な対処法を見つけ、今後の予防に繋げるための第一歩となります。歯が欠ける主な原因として、まず挙げられるのが「虫歯」です。虫歯が進行すると、歯の表面のエナメル質や内部の象牙質が溶かされ、歯の強度が低下します。その結果、食事中などに少しの力が加わっただけで、もろくなった部分が欠けてしまうことがあります。特に、見た目では小さな穴でも、内部で大きく広がっている虫歯の場合、突然大きく歯が欠けることもあります。次に、「外傷」も大きな原因の一つです。転倒したり、スポーツ中に顔をぶつけたり、硬い物に衝突したりすることで、歯に強い衝撃が加わり、欠けたり割れたりすることがあります。特に前歯は外傷を受けやすい部位です。また、「歯ぎしりや食いしばり」の癖がある場合も、歯が欠けるリスクが高まります。睡眠中や日中の集中時などに無意識に行われる歯ぎしりや食いしばりは、歯に非常に強い力を継続的に加えます。これにより、歯の表面に微細な亀裂(マイクロクラック)が生じたり、徐々に摩耗したりして、ある日突然欠けてしまうことがあります。さらに、「酸蝕症(さんしょくしょう)」も近年注目されている原因です。酸性の飲食物(炭酸飲料、スポーツドリンク、柑橘系の果物、酢など)を頻繁に摂取したり、胃食道逆流症などで胃酸が逆流したりすると、歯の表面のエナメル質が酸によって溶かされ、薄くもろくなり、欠けやすくなります。その他、「加齢による歯質の変化」や、「不適切な噛み合わせ」、「過去の歯科治療で詰めたものや被せたものの劣化・脱離」なども、歯が欠ける原因となり得ます。このように、歯が欠ける原因は多岐にわたるため、自己判断せずに歯科医院を受診し、専門医による正確な診断を受けることが非常に重要です。
歯が欠ける主な原因とは?知っておきたいこと