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歯が茶色いのは病気のサイン?
歯が茶色っぽく見える場合、単なる着色汚れだけでなく、何らかの口腔内の病気や、稀に全身疾患のサインである可能性も考慮する必要があります。見た目の変化に気づいたら、安易に考えず、その原因を突き止めることが大切です。まず、最も一般的な口腔内の病気としては「虫歯」が挙げられます。虫歯が進行すると、歯の表面が溶け、そこに色素が沈着したり、象牙質の色が透けて見えたりすることで、歯が茶色く見えることがあります。放置すると歯の神経にまで達し、激しい痛みを引き起こしたり、歯を失う原因にもなります。次に、「歯周病」も間接的に歯の色に影響を与えることがあります。歯周病が進行して歯ぐきが下がると、歯の根元(歯根)が露出します。歯根はエナメル質で覆われていないため、着色しやすく、また象牙質の色が濃く見えるため、歯全体が茶色っぽく見えることがあります。また、歯周ポケットから出血があると、その血液成分が歯に付着して変色することもあります。「歯の神経の死(歯髄壊死)」も、歯を茶色く、あるいは黒っぽく変色させる原因となります。深い虫歯や外傷によって歯の神経が死んでしまうと、歯の内部で組織が分解され、その産物や血液成分が象牙質に沈着して変色します。これを放置すると、歯の根の先に膿が溜まるなどの問題を引き起こす可能性があります。稀なケースですが、「エナメル質形成不全」や「象牙質形成不全」といった、歯の組織が生まれつきうまく作られない先天的な異常も、歯が茶色っぽく見えたり、斑点状に変色したりする原因となります。これらの歯は、通常の歯よりも虫歯になりやすいため、注意深いケアが必要です。また、非常に稀ではありますが、特定の全身疾患(例えば、ポルフィリン症など)や、特定の薬剤の長期服用(テトラサイクリン系抗生物質など)が、歯の変色を引き起こすこともあります。このように、歯の茶色い変色は、様々な病気のサインである可能性があります。自己判断せずに、必ず歯科医院を受診し、専門医による正確な診断を受けるようにしましょう。早期発見・早期治療が、口腔内だけでなく全身の健康を守るためにも重要です。