歯ブラシが歯や歯ぐきに当たると痛みを感じる方にとって、毎日の歯磨きは憂鬱な時間かもしれません。しかし、適切な歯ブラシを選び、痛くない歯磨きのコツを身につけることで、お口のトラブルを予防し、快適にケアを行うことができます。まず、歯ブラシ選びのポイントです。毛の硬さは「ふつう」か「やわらかめ」を選びましょう。特に、歯ぐきが敏感な方や、知覚過敏の症状がある方は、「やわらかめ」や「極細毛」の歯ブラシがおすすめです。硬い歯ブラシで力を入れて磨くと、歯や歯ぐきを傷つけてしまう可能性があります。ヘッドの大きさは、小さめのものを選ぶと、奥歯や歯の裏側など、磨きにくい部分にも届きやすく、小回りが利きます。毛先の形状は、平らなもの(平切り)や、山切りカット、ドーム型など様々ですが、自分の歯並びや磨き癖に合わせて、プラーク(歯垢)を効率的に除去できるものを選びましょう。次に、痛くない歯磨きのコツです。最も重要なのは、「軽い力で磨く」ことです。適切なブラッシング圧は100g~200g程度と言われており、歯ブラシの毛先が歯や歯ぐきに軽く触れる程度で十分です。歯ブラシを鉛筆のように持つ「ペングリップ」で磨くと、自然と力が入りすぎるのを防ぐことができます。「小刻みに動かす」こともポイントです。歯ブラシを大きく動かしてゴシゴシ磨くのではなく、1~2歯ずつ、5mm~10mm程度の幅で細かく振動させるように磨きましょう。歯と歯ぐきの境目や、歯と歯の間など、汚れが溜まりやすい場所は特に丁寧に磨く必要があります。歯ブラシを当てる角度も意識しましょう。歯の表面に対しては歯ブラシを直角に当て、歯と歯ぐきの境目は45度の角度で毛先を歯周ポケットに軽く入れるようにして磨きます。歯磨き粉は、フッ素配合のものを選ぶと虫歯予防に効果的ですが、研磨剤が多く含まれているものは、歯や歯ぐきを傷つける可能性があるため、使いすぎに注意しましょう。知覚過敏の症状がある場合は、硝酸カリウムなどが配合された知覚過敏用の歯磨き粉を使用するのも良いでしょう。これらのコツを意識しても痛みが続く場合は、歯科医院でブラッシング指導を受け、自分に合った正しい歯磨き方法を教えてもらうことをお勧めします。