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口唇炎と口角炎、市販薬で治る?病院に行くべきかの見極め
唇の荒れや、口角の切れ。これらの、比較的よくあるトラブルに対して、「わざわざ病院に行くのも…」と、市販薬で対処しようと考える人は多いでしょう。実際に、ドラッグストアには、様々な種類の口唇炎・口角炎治療薬が並んでいます。しかし、市販薬で対応できる症状と、速やかに、専門医の診察を受けるべき症状には、明確な境界線があります。その見極め方を、正しく知っておくことが、症状をこじらせないための、重要なポイントです。まず、市販薬で対応しても良いと考えられるのは、症状が比較的「軽い」場合です。例えば、乾燥による、軽いカサつきや、ひび割れ、あるいは、口角が少し切れて、ヒリヒリする程度。原因が、乾燥や、ビタミン不足など、ある程度、自分で見当がつく場合です。市販薬には、炎症を抑える成分(グリチルレチン酸など)、組織の修復を助ける成分(アラントイン、パンテノールなど)、そして、ビタミンB群などが配合されています。これらの薬を使い、保湿ケアや、生活習慣の見直しを、併せて行うことで、症状が改善するケースは多くあります。しかし、以下の項目に、一つでも当てはまる場合は、自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、速やかに「皮膚科」を受診することをおすすめします。①症状が重い:ただのカサつきだけでなく、唇全体が真っ赤に腫れ上がっている、小さな水ぶくれが多発している、じゅくじゅくして、黄色いかさぶたができている、といった、明らかに炎症が強い場合。②痛みが強い:口を開けるのも辛いほどの、激しい痛みや、灼けるような痛みがある場合。③2週間以上、治らない:市販薬を1〜2週間、真面目に使っても、全く改善の兆しが見られない、あるいは、悪化している場合。④繰り返す:一度治っても、すぐに同じような症状を繰り返す場合。その背景に、アレルギーや、アトピー性皮膚炎など、根本的な原因が隠れている可能性があります。⑤水ぶくれが集まってできている:これは、口唇ヘルペスの可能性が非常に高いサインです。ヘルペスには、抗ウイルス薬による治療が必須であり、市販の口唇炎薬は、全く効果がありません。病院では、症状や原因に合わせて、より効果の高いステロイド外用薬や、抗生物質・抗真菌薬、抗ウイルス薬、あるいは、内服薬などが処方されます。症状を長引かせ、跡を残さないためにも、迷った時は、専門家の力を借りる、という選択を、ためらわないでください。