根管治療は、歯の根の先に溜まった膿を取り除くために行われる重要な治療ですが、「治療中に膿を出すときに痛いのでは?」と不安に感じる方も少なくないでしょう。確かに、炎症が強い場合や、麻酔が効きにくい場合には、治療中に痛みを感じることがあります。しかし、歯科医師はできるだけ痛みを抑えながら治療を進めるために様々な工夫をしていますし、治療後の痛みに対しても適切な対処法があります。まず、根管治療で膿を出す際に痛みが生じる可能性がある理由について説明します。歯の根の先に膿が溜まっている状態(根尖性歯周炎)は、すでに強い炎症が起きていることを意味します。炎症が強いと、組織のpHが酸性に傾き、局所麻酔薬の効果が弱まることがあります。また、根管内に溜まった膿やガスによって内圧が高まっていると、器具が触れたり、膿が排出されたりする際に刺激となり、痛みを感じやすくなることがあります。歯科医師は、これらの状況を考慮し、治療前にしっかりと麻酔を行います。麻酔が効きにくいと判断される場合は、麻酔薬の種類を変えたり、麻酔の量を調整したり、あるいは麻酔の時間を長く置いたりするなどの工夫をします。また、治療の初期段階で、根管内を開放して内圧を下げる処置(例えば、小さな穴を開けて膿の出口を作るなど)を優先的に行うことで、急性の症状を和らげることもあります。治療中に痛みを感じた場合は、我慢せずにすぐに歯科医師やスタッフに伝えましょう。必要に応じて麻酔を追加したり、治療を一時中断したりするなどの対応をしてもらえます。治療後にも、一時的に痛みや腫れが出ることがあります。これは、治療による刺激や、残っていた炎症反応によるものです。通常は数日から1週間程度で治まりますが、痛みが強い場合は、処方された痛み止め(鎮痛剤)を服用することで対処できます。また、患部を冷やすことも痛みの緩和に役立ちますが、冷やしすぎには注意しましょう。食事は、治療した歯に負担がかからないように、柔らかいものを選び、反対側の歯で噛むように心がけてください。治療後は、歯科医師の指示に従い、処方された薬をきちんと服用し、口腔内を清潔に保つことが大切です。
根管治療で膿を出す時の痛みと対処法