年齢を重ねるとともに、歯の色が以前よりも黄色っぽくなったり、茶色っぽく見えたりすることがあります。これは、加齢に伴う自然な変化の一つであり、いくつかの要因が関わっています。加齢によって歯が茶色っぽく見える主な原因は、「エナメル質の摩耗」と「象牙質の変化」です。歯の最も外側を覆っているエナメル質は、半透明で硬い組織ですが、長年の食事や歯磨きによって徐々に摩耗し、薄くなっていきます。エナメル質が薄くなると、その下にある象牙質の色がより透けて見えるようになります。象牙質は元々淡黄色をしていますが、年齢とともに色が濃くなる傾向があり、これが歯全体の色調を黄色っぽく、あるいは茶色っぽく見せる原因となるのです。また、加齢とともに歯の神経(歯髄)が収縮し、象牙質の厚みが増すこと(第二象牙質の形成)も、歯の色が濃くなる一因と考えられています。さらに、長年にわたる飲食物の色素の蓄積も無視できません。コーヒー、紅茶、赤ワインなどの着色しやすい飲食物を長年摂取し続けることで、その色素が徐々に歯の内部にまで浸透し、歯の色を濃くしてしまうことがあります。これは、若い頃には表面的なステインとして比較的簡単に除去できたものが、加齢とともに歯の構造自体に染み込んでしまうようなイメージです。加齢による歯の茶色い変色に対するケアとしては、まず「日々の丁寧な口腔ケア」が基本です。エナメル質のさらなる摩耗を防ぐために、柔らかめの歯ブラシで優しく磨き、研磨剤の少ない歯磨き粉を選ぶようにしましょう。また、着色しやすい飲食物の摂取を控えたり、摂取後すぐに口をゆすいだりすることも効果的です。より積極的に歯の色を改善したい場合は、「歯科医院でのホワイトニング」が有効な選択肢となります。ホワイトニングは、薬剤を用いて歯の内部に沈着した色素を分解し、歯を白くする方法です。ただし、ホワイトニングの効果には個人差があり、象牙質の色の濃さによっては、期待するほどの白さにならない場合もあります。歯科医師とよく相談し、自分に合ったケア方法や治療法を見つけることが大切です。
加齢と歯の茶色い変色の原因とケア