歯と歯の間に黒いものを見つけたとき、「デンタルフロスでこすれば取れるのではないか?」と考える方もいるかもしれません。確かに、デンタルフロスは歯と歯の間のプラーク(歯垢)や挟まった食べカスを除去するのに非常に有効なツールですが、黒いものの正体によっては、フロスだけでは対処できない、あるいは無理に取ろうとするとかえって問題が悪化する可能性もあります。まず、歯と歯の間の黒いものが「比較的新しい着色汚れ(ステイン)」や「挟まったばかりの色の濃い食べカス」であれば、デンタルフロスを丁寧に使うことで、ある程度除去できる可能性があります。フロスを歯の側面に沿わせ、優しく上下に動かすことで、表面に付着した色素や食べカスを掻き出すことができるかもしれません。しかし、長期間にわたって蓄積された頑固なステインや、歯の表面の微細な溝に入り込んだ色素は、フロスだけでは完全に落としきれないことが多いです。次に、歯と歯の間の黒いものが「虫歯」である場合、デンタルフロスで虫歯そのものを取り除くことはできません。虫歯は歯の組織が溶けてしまっている状態であり、専門的な器具を使って感染した部分を削り取り、修復材を詰める治療が必要です。もし、虫歯によって歯の表面が粗造になっていたり、穴が開いていたりすると、フロスが引っかかったり、切れやすくなったりすることがあります。このような場合に無理にフロスを通そうとすると、歯ぐきを傷つけたり、虫歯を刺激して痛みが出たりする可能性があるので注意が必要です。また、歯と歯の間の黒いものが「黒っぽい歯石(縁下歯石など)」である場合も、デンタルフロスで取り除くことはできません。歯石はプラークが石灰化して硬くなったものであり、歯科医院で専門の器具(スケーラー)を使って除去する必要があります。無理にフロスで取ろうとしても、歯石はびくともしないか、歯ぐきを傷つけるだけになってしまいます。したがって、歯と歯の間に黒いものを見つけたら、まずはそれが何なのかを正確に把握することが重要です。デンタルフロスを試してみて、簡単に取れるようであれば表面的な汚れかもしれませんが、取れない場合や、フロスが引っかかる、出血する、痛みがあるといった場合は、虫歯や歯石、あるいは他の問題である可能性が高いです。
歯と歯の間の黒いもの、フロスで取れる?