歯周病も、歯の痛みと頭痛が同時に現れる原因の一つとなり得ます。歯周病は、歯ぐきの炎症(歯肉炎)から始まり、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてしまう病気で、成人の多くが罹患していると言われています。歯周病が進行すると、様々な症状が現れ、それが頭痛に繋がることがあります。まず、歯周病が進行すると、歯ぐきが赤く腫れたり、出血しやすくなったり、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)が深くなったりします。炎症が強くなると、歯ぐきにズキズキとした痛みを感じたり、歯が浮いたような感じがしたりすることがあります。この歯周組織の炎症や痛みが、三叉神経を介して頭痛を引き起こす可能性があります。特に、奥歯の歯周病が進行している場合、側頭部や後頭部に鈍い痛みとして感じられることがあります。また、歯周病によって歯を支える骨が失われると、歯がグラグラと動揺し始めます。不安定な歯で物を噛むと、歯周組織に過度な負担がかかり、痛みが生じやすくなります。この痛みをかばうために、不自然な噛み方になったり、顔や首の筋肉が緊張したりすることで、緊張型頭痛が誘発されることもあります。さらに、重度の歯周病では、歯周ポケットから膿が出たり(排膿)、口臭が強くなったりすることもあります。これらの炎症性の状態が持続すると、体全体の不調感にも繋がり、頭痛を感じやすくなることも考えられます。歯周病は、初期の段階では自覚症状が乏しいことが多く、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。「歯ぐきからよく血が出る」「歯ぐきが腫れている気がする」「歯が長くなったように見える」「口臭が気になる」といった症状に加えて、歯の痛みや頭痛も感じる場合は、歯周病が原因である可能性を疑ってみる必要があります。歯周病は、適切な治療と継続的なケアによって進行をコントロールすることができます。自己判断せずに、歯科医院で専門的な診査・診断を受け、早期に治療を開始することが大切です。