歯が欠ける原因の一つとして、日常生活における「外傷」が挙げられます。これは、転倒したり、何かに強くぶつかったり、スポーツ中に衝突したりするなど、歯に急激な強い力が加わることで起こります。特に、子供や活発な若い世代に多く見られ、前歯が欠けるケースが目立ちます。外傷によって歯が欠ける場合、その衝撃の強さや方向、歯の状態によって、欠け方や範囲は様々です。歯の先端がわずかに欠ける程度の軽微なものから、歯の大部分が失われてしまうような大きな欠け、さらには歯の根っこまで割れてしまう「歯根破折」に至ることもあります。歯の先端が少し欠けた程度であれば、痛みを感じないこともありますが、欠けた部分が鋭利になっていると、舌や唇を傷つけてしまうことがあります。欠けた範囲が大きくなり、歯の内部にある象牙質が露出すると、冷たいものや熱いものがしみたり(知覚過敏)、歯ブラシが当たると痛みを感じたりすることがあります。さらに、欠けが歯の神経(歯髄)まで達してしまうと、激しい痛みを伴ったり、神経が炎症を起こしたり(歯髄炎)、壊死したりする可能性があります。スポーツ中の事故も、歯の外傷の大きな原因の一つです。特に、コンタクトスポーツ(ラグビー、アメリカンフットボール、格闘技など)では、相手選手との衝突や、ボールなどが顔面に当たることで歯を損傷するリスクが高まります。このようなスポーツを行う際には、マウスガード(マウスピース)を装着することが、歯の外傷を予防するために非常に有効です。交通事故や自転車での転倒なども、顔面を強打し、歯が欠けたり折れたりする原因となります。もし外傷によって歯が欠けてしまった場合は、できるだけ早く歯科医院を受診することが重要です。欠けた歯の破片が見つかった場合は、捨てずに乾燥させないように牛乳や生理食塩水に浸して持参しましょう。歯科医師が歯の状態を正確に診断し、欠けた範囲や神経への影響などを考慮して、適切な治療法(詰め物、被せ物、神経の治療、場合によっては抜歯など)を提案してくれます。
外傷(ぶつける・転ぶ)による歯の欠け