差し歯が痛む場合、その原因によって治療内容や期間、そして費用は大きく異なります。ここでは、代表的な原因とそれに対する治療の一般的な流れ、期間、費用の目安について説明しますが、あくまで一般的なケースであり、個々の状況によって変動することをご理解ください。まず、痛みの原因が「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」であった場合、治療は「根管治療(こんかんちりょう)」が中心となります。これは、歯の根の中の汚染された部分や膿を取り除き、清掃・消毒する治療です。治療回数は、歯の状態や根管の数・形態によって異なり、前歯で2~4回程度、奥歯で3~6回程度かかるのが一般的です。治療期間としては、数週間から数ヶ月を要することもあります。費用は、保険適用の場合、1歯あたり数千円から1万円程度が目安ですが、自費診療でマイクロスコープなどを用いた精密な根管治療を行う場合は、数万円から十数万円かかることもあります。根管治療後は、土台(コア)を作り、新しい被せ物(クラウン)を装着する必要があるため、その費用も別途かかります。次に、痛みの原因が「歯周病」であった場合、治療は歯周基本治療(歯石除去、歯周ポケットの清掃、歯磨き指導など)から開始されます。症状の程度によって、数回から十数回の通院が必要になることもあり、治療期間は数ヶ月から1年以上かかることもあります。重度の場合は、歯周外科手術が必要になることもあります。費用は、保険適用の場合、初期治療で数千円から1万円程度、外科手術が必要な場合は数万円程度が目安です。歯周病治療は、継続的なメンテナンスが非常に重要になります。痛みの原因が「二次カリエス(差し歯の下の虫歯)」であった場合は、まず虫歯の部分を除去し、その範囲や深さによって治療法が決まります。虫歯が浅ければ、詰め物(レジン充填など)で済むこともありますが、虫歯が深く、神経に達している場合は根管治療が必要になります。虫歯治療後、差し歯を再製作する必要がある場合が多いです。費用は、虫歯治療の範囲と、新しい差し歯の素材(保険適用か自費診療か)によって大きく変動します。痛みの原因が「噛み合わせの異常」であった場合は、噛み合わせの調整を行います。これは、高く当たっている部分をわずかに削る処置で、通常は1回から数回の通院で完了します。