「うちの子、歯が小さい気がするんだけど…」と心配される親御さんは少なくありません。子供の歯の大きさには個人差があり、一概に小さいからといって問題があるわけではありませんが、いくつかの注意点や、将来の永久歯への影響について知っておくことは大切です。まず、乳歯の大きさが小さい場合、それが永久歯の大きさに直接影響するとは限りません。乳歯と永久歯は、それぞれ独立して形成されるため、乳歯が小さくても永久歯は標準的な大きさで生えてくることもありますし、逆に乳歯が標準的な大きさでも永久歯が小さい(矮小歯)ということもあります。ただし、遺伝的な要因が歯の大きさに影響するため、親御さんの歯が小さい場合、お子さんの乳歯や永久歯も小さくなる傾向は見られます。乳歯が小さいことによって考えられる問題としては、まず「永久歯の萌出スペースの不足」です。乳歯は、後に生えてくる永久歯が正しい位置に生えるためのスペースを確保するという重要な役割も担っています。乳歯が著しく小さい場合、永久歯が生えてくるためのスペースが不足し、永久歯が重なって生えてきたり、ねじれて生えてきたりするなど、歯並びが悪くなる原因となることがあります。また、乳歯が小さいと、歯と歯の間に隙間ができやすく、食べ物が挟まりやすいことがあります。これにより、虫歯のリスクが高まる可能性があります。特に、奥歯の乳歯が小さい場合は、噛む力が弱かったり、効率的に食べ物をすり潰せなかったりすることもあるかもしれません。永久歯が生えてきた際に、特定の歯が明らかに小さい場合(矮小歯)、特に上の顎の側切歯(前から2番目の歯)や親知らずに多く見られます。側切歯が矮小歯の場合、隣の歯との間に隙間ができたり、全体の歯並びのバランスが悪く見えたりすることがあります。このような場合、成長が完了してから、コンポジットレジン修復やラミネートベニア、矯正治療などで審美的な改善を図ることがあります。子供の歯の大きさが気になる場合は、定期的な歯科検診を受け、歯科医師に相談することが大切です。歯科医師は、お子さんの顎の成長や永久歯の萌出状況などを総合的に判断し、必要であれば適切なアドバイスや治療計画を提案してくれます。