せっかく治療して入れた差し歯、できるだけ長く快適に使いたいものです。しかし、知らず知らずのうちに差し歯の寿命を縮めてしまうようなNG行動をとってしまっているかもしれません。ここでは、差し歯の寿命を短くする可能性のある代表的なNG行動と、その理由について解説します。まず、最も基本的ながら影響が大きいのが、「不適切な口腔ケア」です。毎日の歯磨きが不十分で、差し歯の周りや歯と歯茎の境目に歯垢(プラーク)が残っていると、そこから二次的な虫歯(二次カリエス)が発生したり、歯周病が進行したりするリスクが高まります。特に、差し歯と天然歯の境目は汚れが溜まりやすく、虫歯になりやすいポイントです。この土台となる歯が虫歯や歯周病にかかってしまうと、差し歯を支えることができなくなり、結果的に差し歯の寿命を大きく縮めてしまいます。デンタルフロスや歯間ブラシを使わずに歯ブラシだけで済ませているのもNGです。次に、「硬すぎるものを頻繁に噛む習慣」も差し歯にとっては負担となります。氷をガリガリ噛んだり、硬い木の実や飴を頻繁に食べたりすると、差し歯(特にセラミック製のもの)が欠けたり割れたりする原因になります。また、土台となる歯根にも過度な力がかかり、歯根破折を引き起こす可能性もあります。これは、天然歯であっても避けるべき行動ですが、差し歯の場合はより慎重になる必要があります。また、「歯ぎしりや食いしばりの癖を放置する」のも良くありません。睡眠中や無意識のうちに行われる歯ぎしりや食いしばりは、差し歯に対して非常に強い力を継続的に加えることになります。これにより、差し歯が摩耗したり、破損したり、あるいは土台の歯がダメージを受けたりするリスクが高まります。もし、朝起きた時に顎が疲れていたり、歯がすり減っていたりする自覚がある場合は、歯科医師に相談し、ナイトガード(マウスピース)の作製などを検討しましょう。「定期的な歯科検診を怠る」のも、差し歯の寿命を縮める大きな要因です。自分では気づかないうちに、差し歯と歯茎の間に隙間ができていたり、噛み合わせが変化していたり、土台の歯に初期の虫歯ができていたりすることがあります。これらを早期に発見し、適切な対処をすることで、大きなトラブルに発展するのを防ぎ、差し歯を長持ちさせることができます。