奥歯に痛みを感じる時、その痛みの種類によって原因は大きく異なります。代表的な症状として「噛んだ時の痛み」と「冷たいものがしみる痛み」がありますが、この二つは似ているようでいて、その背景にあるトラブルは全く別物であることが多いのです。まず、「冷たいものがしみる痛み」の主な原因は、知覚過敏や初期の虫歯です。知覚過敏は、歯周病や強すぎるブラッシングによって歯茎が下がり、本来は象牙質を覆っているエナメル質が削れたりして、歯の神経に刺激が伝わりやすくなることで起こります。冷たい水や風といった温度刺激に反応して、一過性のキーンとした痛みを感じるのが特徴です。一方、「噛んだ時の痛み」は、歯に対して物理的な圧力がかかった時に生じる痛みです。これは、虫歯が象牙質のさらに奥、神経に近い部分まで進行している可能性を示唆します。噛む力によって、虫歯で脆くなった部分がたわみ、神経を直接圧迫するために痛みが生じるのです。また、歯の根の先に膿が溜まっている場合(歯根膜炎)や、歯にひびが入っている場合(歯根破折)、あるいは歯周病が進行して歯を支える組織が弱っている場合にも、噛んだ時の圧力が刺激となって痛みを感じます。このように、しみる痛みは歯の表面に近い部分の問題であることが多いのに対し、噛む痛みは歯の内部や根の周囲といった、より深い部分でのトラブルを示している可能性が高いと言えます。もちろん、症状が進行すれば、虫歯が原因で「しみる痛み」と「噛む痛み」の両方を感じることもあります。しかし、痛みの種類を自分で注意深く観察し、歯科医師に正確に伝えることは、迅速で的確な診断の大きな助けとなります。どちらの痛みであっても、それは歯が発している重要なサインであることに変わりはありません。放置せず、早めに専門家の診察を受けましょう。
噛む痛みと冷たいものがしみる痛みの違い